失敗には種類があった「居残る失敗」 - リーン・スタートアップ2

 

今回は『リーン・スタートアップ』を読んで考えた話の続きです。

前回の記事はこちら。

 

machi-kado.hateblo.jp

 

失敗には色んな種類の失敗があります。その中でも、元気のない地方には「居残る失敗」が、それこそ自らの居場所を守るかのように、居残っているのだと感じます。どういうことか。これから話していきます。

 

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これは徳島県海陽町の宍喰海岸。

ここは少し前まで、四国でも有数な"いい波"の立つサーフビーチだったと聞きました。様々ないきさつを経て、今ではテトラポットが埋まっています。よほどの上級者でないと、テトラを避けながらのサーフィンは出来ません。

 

そのため、多くのサーファーがとなり町の海岸までクルマを走らせています。
今、日本中で地方創生が叫ばれ、どうやったら人が来てくれるのかを日本中の自治体が考えています。その中で、放っておいても人が集まる"集客装置"がある。これはとっても恵まれていることです。
それを、この町は自ら放棄しました。

 

もちろん反対側の意見もあって、テトラポットが無ければ海岸の砂が少しずつ海に流されて、海岸線が後退していくといいます。テトラを置くと決めた時期は、今ほど地方創生が深刻に叫ばれてもいなかったでしょう。

 

けれど、このテトラポットが海岸の価値を毀損させていることは間違いないし、この先おそらくかなりの長い間、このテトラが取り除かれることもないでしょう。

 

この問題のポイントは、一度置いてしまえばもう取り除けない、以降数十年にわたる決断をどのように行ったんだということ。


この、テトラポットという政策。導入すると決めたその時はいいかもしれないけれど、数年後には状況が変わっているかもしれない。それは、世の中は変化するのだから当たり前のことだったりもします。それをどこまで織り込めていたかというハナシです。

 

いま進行している地方衰退の背景には、こうした「居残る失敗」があるのだと感じます。一つ一つの失敗が少しずつ地方の価値を毀損させていて、それらが積み重なって地方の魅力も失われている。
これは、「次に繋がる失敗」でも「すぐに立て直せる失敗」でもなく「居残る失敗」です。失敗がかたちを変えず、その場所に居残り続けるから、その場所で新しいアクションもできなくなるのです。

 

「失敗は成功の素」

 

日本では何度も言われてきている言葉です。
けれど、失敗には色んな種類があるということをきちんと知っておく必要があります。

 

失敗は、その大小だけではありません。
・学びのある失敗と、同じ間違いを繰り返す失敗
・すぐに方向転換できる失敗と、ずっと残り続ける失敗

 

失敗には性質があって、質の高い失敗を繰り返すからこそ、成功に近づいていくものでしょう。成功の素になるのはこういう失敗です。そして、一度「居残る失敗」をしてしまうと、そのマイナスを挽回するのは大変なエネルギーが要ることだったりします。

 

地方創生と失敗の性質。
なぜ地方が衰退しているのかを、「失敗の性質」から考える体験談でした。

読んでいただきありがとうございます。